公正世界仮説
2016/05/23
この世界にある様々な宗教の多くは、この“公正世界仮説”、“公正世界信念”に基づいていると思われる。
「毎日きちんと祈りを捧げ続ければ願いは届く」
「神様はちゃんと見てくれているから、よい行いをすれば
必ず自分に返ってくる」
そうした考えはいいことだ。
善人や善行を生み、犯罪やモラルの低下を抑制する。
そのような信仰心のある人達に、ここまで書いてきたような話をし、
意見を求めればきっとこう言うに違いない。
「現世ではそのような(被害、被災を受けるなど)思いをした分、
来世(天国)では必ず幸せになる」と。
現世と来世(天国)、2つの世界を合わせて帳尻が合うという考え方だ。
イスラム教過激派(仏教の輪廻に似た転生思想が入っているのは「アラウィ派」)の人達の中で、
自爆テロなどを恐れない人がいるのは、
そうした考え方があるからだろう。
彼らは来世(天国)を信じている。
神だ、来世(天国)だなど突然言われても、ほとんど人がピンとこないかもしれないが、
一度当り前のように過ごしている日常生活を振り返ってみてほしい。
別に信仰心や宗教に関心がない人だって、賽銭箱にお金を投げ入れれば、
手を合わせ願いを祈る。皆でクリスマスを祝うし、
御先祖の供養の為、定期的に墓参りだってするだろう。
日本独特のシンクレティズム(習合信仰・重層信仰)かもしれないが、
それらは外国人の目からすれば立派な宗教儀礼に映るはずだ。
そのように、自分達の日常生活の中には信仰に基づいた考えや習慣が
深く根付いている。
そんな俺もそうした考え、習慣が根付いている1人であり、
宗教というものに対し、何の偏見も持っていない。
だから、現世と来世(天国)を含めて公正になるという考え方を否定はしないし、
むしろ、善行、善心を保持する為にも積極的に受け入れたい考えだ。
ただ、そんな中1つだけ願いを言わせてもらえるのであれば、
現世では理不尽なこと、不条理なことが溢れているということだけは
認めてもらいたい。
そして、その理不尽なこと、不条理なことで被害者、または被災者に
なってしまっている人達がいるということを素直に理解して欲しい。