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性犯罪と教育

      2020/12/30

今年の9月、ヒステリックブルーの元ギタリスト二階堂直樹さんが

 

強制わいせつ致傷容疑で逮捕された。

 

過去NHK紅白歌合戦にも出場したことのある人気ロックバンドの

 

元メンバーだったこともあってか、その事件は

 

大きく扱われていたが、それ以上に世間の耳目を集めたのは、

 

彼の前科ではないだろうか。

 

彼は2004年に強制わいせつなどの疑いで逮捕・起訴され、

 

懲役12年の実刑判決を受けていた。

 

多くの人が「性犯罪の再犯防止は難しい」と思ったことだろう。

 

もちろん、俺もそんな一人で、

 

改めて「薬物の依存と一緒で、性犯罪も病気の一種だな」

 

と考えさせられもした。

 

刑務所内では、そういった薬物依存者や性犯罪者に対して

 

専門的な教育が行なわれている。

 

ただ、その内容については受講者自身も疑問に思うことが

 

多々あるようだ。

 

実際にその教育を受けたというピンク(性犯罪で捕まった人間は、

 

刑務所内では“ピンク”という蔑称で呼ばれる)の受刑者から

 

話を聞く機会があったのだが、その受刑者いわく、

 

「法務省がつくっている教育時に使う本は7冊ぐらいあって、

 

結構お金をかけているなというほどのつくりでした。

 

でも、中身はどれも的外れで、『実際これ(本の内容)は

 

どうなのですか?本音で語ってほしい』と教育の先生に私達が言うと、

 

その先生は『そう言う気持ちもわかるが、私が『おかしい』と声をあげたところで、

 

イエスという人間に首を挿げ替えられるだけ』と言っていました。

 

ただ、その先生のよかったところは、いつもすぐにその本を閉じて、

 

フリートークを中心に進めてくれたところです。」

 

とのことだった。

 

その話を聞いた時は、「そういったマニュアル通りではない

 

先生がいてくれることは救いだな」と思った。

 

やっぱり実際に多くの性犯罪者と接してきた方の声のほうが、

 

より重要で為になると思うから。

 

 

また、これは俺が個人的に疑問に思ったことなのだが、

 

ここ横浜刑務所では教育と称して、

 

ピンクの受刑者は印刷工場に半年ほど移り、

 

過ごすことがある。

 

(ピンクの受刑者は自身の罪名を隠す人が多いのだが、

 

その教育が実施されるようになってから、他の受刑者に

 

ピンクであることがバレてしまうようになった)

 

話を聞く限りだと、印刷工場において

 

特段変わったことをしているわけではないようなので、

 

「長期刑の性犯罪者に、ちゃんと特別な教育を行なっていますよ」

 

という単なるアリバイづくりの為にやっているのではないか。

 

印刷工場から元いた工場に戻ってきたピンクの受刑者達の

 

変わらぬ姿に接する度に、俺はついそういった穿った考え方をしてしまう。